2019/02/14
防災・危機管理ニュース
東京都は14日、新宿区の都庁で総合自衛消防・防災訓練を実施した。火災対応訓練には職員とテナント業者の約2000人、地震対応訓練には全職員とテナント業者の約2万5000人が参加。一般の利用も多い食堂での出火や、外国人観光客に人気の展望室での地震対応などの訓練を行った。
火災訓練では第一本庁舎32階と第二本庁舎4階の食堂から出火の想定。眺望が人気で一般の利用も多い第一本庁舎32階では、出火後に食堂の職員が自衛消防隊を呼び、初期消火を行ったものの煙が充満したとして、防火シャッターを閉め階段で職員が下り、さらに庁外に出て隣接する新宿中央公園まで避難した。
地震対応訓練は震度6強クラスを想定。全職員が机に隠れるなどその場で対応を実施した。第一本庁舎45階にある北展望室では、通常通り一般開放している状態で訓練を行った。日本語と英語で緊急地震速報を流し、日・英・中・韓の標示板を提示。さらに係員が日本語と英語のほか韓国語も交えて、身をかがめ頭を守るよう大きな声で呼びかけ、来場者は指示に従った。
都庁では1850人で自衛消防隊を組織。150隊で組織され、各フロアを北・南・中央に分け役割を分担している。第一本庁舎は48階、第二本庁舎は34階建て。火災と地震対応は年2回訓練を行い、都の各局において局内の自衛消防隊の管理やとりまとめを行っている。都総務局によると今回の訓練は2020年東京オリンピック・パラリンピックを意識したという。火災の発生場所を今までの執務スペースでなく一般利用も多い食堂とし、運営するテナントも協力。地震対応では英語でも緊急地震速報を流し、パナソニック製多言語翻訳機「メガホンヤク」のほか、デジタルサイネージを用いて外国人も見るだけで避難先がわかるような工夫も行った。東京消防庁新宿消防署も協力し、都庁前には地震や火災の疑似体験ができるVR(仮想現実)防災体験車も設置された。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方